1. 海がきこえる
少女小説で有名な氷室冴子さんの作品。ジブリの原作にもなった人気作です。
それこそ映画脚本におけるト書きのようだ、と言えばよいのでしょうか。あまりにも淡々としているうえ、内容は何のひねりもない恋愛ものでした。
2. あらすじ
高知から東京の私立大学に進学した杜崎拓(もりさき たく)。引っ越しの直後、高校時代の友人である浅尾(あさお)から電話がかかってくる。
なんと、高校生活を共にした因縁の相手、武藤里伽子(むとう りかこ)も東京の大学に進学しているというのだ。
彼女は高知の大学に進んだと聞いていたのだが。
拓の脳裏には、里伽子と過ごした高校時代の想い出が蘇る......。
3. 感想
事実だけを並べるような淡々とした筆致には悪い意味で驚きました。物語は情緒的にもかかわらず、そこにここまで飾りのない書き方は悪影響です。心理描写が始まるのも唐突で、小説としての文章の繋がりが感じられませんでした。
また、物語もいたって平凡。親の離婚といった問題を抱える美少女と主人公が偶然出会い、向こうからちょっかいをかけてくれて、そして主人公が少しばかりヒロインを手助けして、また東京で偶然再会して、という具合です。
偶然を使いすぎており、しかも、伏線もなければヤマもないような物語でした。
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